革新者:データでマッチングされた最強の組み合わせ

  • POV’s
  • 2024-01-29
  • Stephan Bruneau

ChoreographとGoogleが共同で、長年のデータとツールのパートナーシップの成果として、Live Audiencesを発表しました。これは、標準的なプラットフォーム側のデータツールから一歩進んだもので、GoogleとYouTubeの消費者データをChoreographのインサイトプラットフォームに統合し、GoogleのAudience Insights APIを活用しています。メディアプランナーはこれを使用し、Choreographのすべてのデータソースと組み合わせることで、クライアント向けにより効果的なオーディエンスプランを作成できます。

こうした複雑なテクノロジーのプロジェクトは、答えを出すと同時に多くの疑問を投げかけます。未来は日々変化しているからこそ、この技術が私たちの業界に与える影響については多くの問いが浮かびます。データ所有権とアクセスの問題、エージェンシーとプラットフォームの役割、そしてAI(人工知能)が今後どのように業界を変革するのか、こうしたテーマについて、Googleのグローバルビデオ&YouTubeソリューション担当ディレクターであるRyan Stonehouse氏との対談で、今後の展望を探りました。

データ所有 vs データ統合

データ所有権に対する考え方には変化が見られると感じています。例えば、オンライン小売業者のようにデータが豊富なクライアントにとっては、データを収集し、整理し、最大限に活用することが理にかなっています。しかし、すべてのクライアントに当てはまるわけではありません。

エージェンシーとして重要なのは、データを所有するかどうかではなく、必要なデータにアクセスして、最高のインサイトを得ることです。それによって、最適な戦略と実行を最速で行うことが可能になります。所有するデータだけに縛られることは、クライアントに提供できる価値を制限してしまうため、場合によってはパートナーのデータこそが最も価値あるものとなります。

Live Audiencesはこの良い例です。この機能はChoreographのインサイトプラットフォーム内に統合されており、80以上の市場にわたる業務、クライアントリーダーシップからプランニング、コマースに至るまで、日々の業務を支えています。データとテクノロジーの断片化が進んでいる中で、私たちは戦略的に重要なパートナーと協力し、そのデータをプラットフォームに統合する決定を下しました。Googleの行動データは独自のものであり、他のデータソースと統合することで、さらに強力なインサイトを得ることができます。

Ryanは、「私たちの新しいオーディエンスAPIは、検索やYouTubeの膨大な匿名シグナルを集約しています。これを単なるツールに入れるのではなく、データ統合を進めることで、Choreographのインサイトプラットフォーム内で、さらに深くて強力なオーディエンスインサイトとデータシグナルにアクセスできるようにしたのです」と語ります。これにより、キャンペーン結果がさらに良くなることが期待されています。

エージェンシー vs プラットフォーム(エージェンシーとプラットフォームの協力)
Ryanが指摘するように、プラットフォームとエージェンシーの役割の進化については議論の余地があります。「私たちにとっては、エージェンシーのエコシステム内で何が起きているかを理解し、それに合ったテクノロジーを作り出すことが大切です。これを『仲間』として捉えることが重要です」と言います。

そのため、エージェンシーとプラットフォームの関係については「対立」ではなく「協力」と考えるのがより生産的です。Live Audiencesは、YouTubeのリーチカーブAPIとの信頼関係に基づいてエージェンシーとプラットフォームが協力する形で生まれたプロジェクトです。この信頼関係は非常に重要で、より速く、より遠くへ進むための土台となります。双方にとってウィンウィンな結果を生んでおり、Choreographはより速く、情報に基づいたオーディエンス決定を行い、Googleはそのデータと製品を計画プロセスの中で可視化し、最終的にエコシステム内でより良いキャンペーンの実施につなげています。

Ryanはさらに、「このようなパートナーシップには、高い技術力を持つチームが両者に必要です。YouTubeとChoreographはそれぞれ異なるシステムで作られており、各々が技術的な制限やデータ構造を持っています。双方の技術チームが高い能力を持っていることが、成功の鍵でした」と振り返ります。

AIを活用したメディアプランニング

将来的には、Googleの膨大なデータと消費者行動に関する理解をAIを使って活用できる未来を想像しています。データを所有するのではなくアクセスすることについてはすでに触れましたが、実際にGoogleのデータ全てにアクセスできるわけではなく、ここでAIが大きな役割を果たすと考えています。

例えば、Googleのデータを使って自分でオーディエンスを作成する代わりに、AIエンジンにオーディエンスのブリーフを入力し、Googleがアクセスできるデータを活用してターゲットオーディエンスの詳細なプロフィールを生成できるとしたら、それは非常に効率的です。個別のデータ交換なしにデータを活用することで、プライバシーも守られ、皆が利益を得る形になります。

Ryanは、「AIはメディアやマーケティングの業務をほぼすべて変革する力を持っていますが、そのためには適切なトレーニングデータが必要で、特に成果や顧客とのインタラクションの価値を定量化する新しい方法が求められます」と話します。そして、「AIと人間のインサイトのバランスを考慮することが重要であり、これはマーケティングのアートとサイエンスを組み合わせるために欠かせない要素です。これは今後も変わらないと思います」と締めくくっています。

Stephane Bruneau
インサイト&プランニング・プロダクト担当プレジデントChoreograph at GroupM

The Provocateur: A match made in dataより